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山芋栽培
2023-07-01
生態・特徴
ジネンジョ(自然薯)・ナガイモ(長芋)・イチョウイモ(銀杏芋)・ツクネイモはヤマノイモ科ヤマノイモ属に属するつる性の多年草。ジネンジョやナガイモは芋が長く伸びるのが特徴で、長いものでは1mを超えるものもある。ジネンジョは芋の粘りが強いが、ナガイモは水分が多く、粘りが弱い。ジネンジョはヤマイモ(山芋)と呼ばれることもある。
イチョウイモは長さ15〜25cmの扇形(銀杏の葉の形)の芋で、関東地方ではヤマトイモ(大和芋)と呼ぶこともあるが、芋の形状が塊形・丸形をしている、ツクネイモのことを関西地方ではヤマトイモと呼ぶこともあり、ややこしい。ツクネイモは形状が塊形・丸形の芋で、主な品種には伊勢いも、丹波やまのいも、などがある。関西地方ではヤマトイモと呼ばれることもある。
夏になると、つる(葉腋)にはムカゴができる。できたムカゴは食用にしたり、繁殖に利用できる。ムカゴが少ないほど、地中の芋は大きくなるので、地中の芋を大きくする場合は、ムカゴを早めに取り除くとよい。つるが下垂するとムカゴが多くなる。なお、ツクネイモではほとんどムカゴはできない。
土作り・畝立て
畑は使用する2週間前までに、深さ20〜30cm程度耕し、苦土石灰を適量散布して、土とよく混ぜておく(土壌酸度の調整)。
続いて、畝を立てる場所の中央(種芋を植える位置)に幅25cm、ジネンジョとナガイモの場合は深さ100cm、それ以外の芋では深さ50cmの植え溝を掘る。植え溝は掘ったら、すぐに埋め戻すが、その際、芋が変形する原因となる、石などを取り除いておく。芋の伸びる場所(植え溝)が深く耕してあれば、畑全面を深く耕す必要はない。
1週間前になったら、1m2あたり2kgの完熟牛ふん堆肥をまいて、土とよく混ぜ、畝を立てる。芋の変形や変色などの原因になるので、植え溝には堆肥などの肥料分は混ぜないようにする。元肥は萌芽後に施す(生育初期は種芋に蓄積された養分で育ち、土壌からの養分吸収は少ないため)。
波板栽培・パイプ栽培
固い土層があるなどの理由で、畑を深く耕すことが出来ない場合は、波板栽培がおすすめ。波板栽培では、長さ120cmの波板を20度の角度で傾けて畑に置いて、土をかぶせ、その上に種芋を植える。晩秋、埋めた波板を掘り出せば、芋を折ることなく、収穫ができる。そのほか、地中に埋めた塩ビ製のパイプの中で芋を肥大させて、芋の掘り取りを簡単にした栽培方法(パイプ栽培)もある。
種芋の準備
植え付け前に種芋を準備する。種芋には子イモ、または切りイモを使用する。子イモはムカゴを前年の春から晩秋までの間、育てたもので、切らずにそのまま使用する。切りイモは大きな芋を切り分けたもので、ジネンジョ・イチョウイモ・ツクネイモの場合、1片あたり50〜80gに分割したものを使用する(ツクネイモは頂芽部を切り捨て、ミカン切り)。ナガイモの場合は100〜150g程度に分割にしたものを使用する。
ムカゴから子イモを作る場合は、春にムカゴを畑に植え付け(覆土3cm、株間6cm、条間20cm)、晩秋まで育てる。翌春になったら種芋として植え付ける。
植え付け
種芋の植え付けは4月中旬から5月中旬頃に行う。畝の中央(植え溝の真上)に種芋を植え付ける。子イモはそのまま植え付け、切りイモは切り口を乾かしてから植える(ツクネイモの場合は切り口を上にする)。覆土は5〜6cmにする。芽が出るまでには、2〜4週間ほどかかる。なお、収穫する芋は毎年、種芋を養分にして新しく形成される(種芋は大きくならない)。
支柱立て
種芋の植え付け後、2mの支柱を立てる。ただし、イチョウイモとツクネイモでは、つるを地面に這わせる、地這い栽培(無支柱栽培)も可能。地這い栽培をする場合は支柱は不要。地這い栽培にすれば、土壌の乾燥防止に効果がある。
元肥・追肥・管理
萌芽してつるが伸びてきたら、支柱につるを誘引して(地這い栽培の場合は地面につるを這わせる)、畝の肩部分に元肥を施し、かるく土寄せをする(追肥も同様の方法で施す)。1個の種芋から複数の芽が伸びたときは、芋の肥大が悪くなるので、1本を残して他の芽を摘み取る。梅雨が明けたら、土壌の乾燥を防ぐため、株元に敷きワラをする。追肥は7月上旬から8月上旬の間に1〜2回施す。
収穫
収穫は地上部が枯れてきた頃に行う。株の周囲にスコップを入れて土を崩し、折らないように芋を掘り取る。保存する場合は、芋をポリ袋に入れて、3〜5℃くらいの冷暗所に置く。温暖な地域では、掘り出さないで、畑で越冬させることもできる。つるにできたムカゴの収穫は9月上旬頃から行う。収穫したムカゴは、ご飯と一緒に炊いて、ムカゴ飯などにする。